1.はじめに
2.食生活の変化で、最大の負担がかかっていた腸
3.消化のしくみと、排出までの時間
4.不完全な消化物(残滓)が腐ってガスを発生
5.腸の汚れが、万病の元
6.便秘薬は、腸本来の機能を奪う
7.予防に勝る医学はない、食事教育(食育)はこれからの課題
8.サプリメントや乳酸菌などは、まず腸をキレイにしてから
9.よい腸相にするために、できること−コーヒーエネマ
10.解毒(デトックス)
11.ゲルソン療法
12.コーヒー・エネマ最前線
1.はじめに
私が外科医レジデント(研修医)として、アメリカに留学したのは1963年のことです。この前年は、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』が出版された年で、人類が20世紀に生んだ農薬や化学合成物資が自然と人体にもたらす異変について、初めて警鐘が打ち鳴らされたのでした。
当時のアメリカは「豊かさを象徴するための大量生産・大量消費」が台頭してきた時期で、人々の食生活もまさに飽食の時代でした。このころの医学界では、ほんの小さなポリープを切除するのでも、開腹手術をしなければなりませんでした。そんな負担の大きい治療法に疑問を抱いていた私は、1969年、世界で初めて大腸内視鏡を使って、開腹することなく大腸ポリープを切除できる画期的な方法を研究し成功しました。
やがて、内視鏡を使って検査を行ううちに、きれいな良い腸相をしている人は健康状態もよいことに気づきました。
以来、私は約30万人の検査と10万人のポリープ切除手術を行い、その臨床・研究の経験を通して、健康とは、正しい食生活と腸内環境を良くする"排泄"が基本だと確信しました。

2.食生活の変化で、最大の負担がかかっていた腸
私は日本とアメリカで40年近く診察を行ってきました。
1960年代に入ると、日本でも食生活の洋風化が進み、高たんぱく・高カロリーの食事をとるようになりました。インスタント食品や外食の比率も増え、さらに大気汚染、環境汚染、土壌の変化、電磁波の増大、農薬・化学肥料など、人体に有害な環境の変化が起きました。30万人の腸を診察した経験から、それらの弊害が“腸”に現れてきていることが解りました。
健康によい食生活とは、
1) 自分が生まれた土壌で栽培されたものを自然のまま食べること(身土不二)
2) 穀物・豆類を5、野菜・果物を2、肉類・魚介類を1の比率で摂取すること
3) 動物性たんぱく質は、なるべく魚介類から摂ること
4) 体によい食習慣を守ること
・良く噛む習慣
・夕食は就寝前4〜5時間前にすませる習慣
・規則正しい時間帯に食事を摂る習慣
・大食をしなく「腹八分」の食事量を守る習慣
・なるべく間食を避ける習慣
5) 味噌、納豆などの発酵食品を摂ること
6) 糖分の摂取量を増やさないこと
7) 食品添加物が多い加工食品やインスタント食品を避ける
以上のことを患者さんにもアドバイスしてきました。
ストレス社会の現在は、これらを守ることは難しい一面があります。
毎日、自然排便のある方でも、腸を内視鏡で検査してみると腸のヒダや腸壁に食べ物のカスが付着した患者さんが目立ってきています。その付着物は、36.5度の体内で一日以上たつと、真夏の生ゴミと同じで、腐敗して腸内を汚染し、その有害物質が体内に吸収されてしまいます。最も大切なことは腸のなかで腐敗する前に、体外に出してしまうことです。

3.消化のしくみと、排出までの時間
食事をすると、消化はまず口内の唾液によって始まります。唾液には消化酵素のアミラーゼが含まれており、でんぷんを溶かす強い力をもっています。1gで、でんぷん5トンを15分で溶かす力があるといわれています。食べ物は、次に胃の中で強酸性になり、塩酸、ペプシンで十分消化されると、胃の出口である幽門が開き、十二指腸に送り出されます。十二指腸での消化液は、胆汁と膵液です。胆汁は、ph8.2〜8.5の強いアルカリ液です。リパーゼという消化酵素は脂肪を分解します。1gで脂肪5kgを15分でグリセリンと脂肪酸に分解してしまう力をもっています。
膵臓液には、でんぷんを溶かすペプチターゼやたんぱくを溶かすトリプシンなどの酵素があり、ほとんどの食べ物は十二指腸で消化され、次の小腸で吸収されます。胃で溶かされた食物は小腸に入ってペプチターゼ、リパーゼ、トリプシンなどの消化酵素と混ざり合い、分解され、栄養素の微粒物に変わります。これらの栄養素は約6mもの小腸を通過する間に、繊毛や微繊毛によって吸収されます。消化された食物の残り(残滓)が次に大腸に送り込まれます。
大腸ではさらに水分やミネラルを吸収します。大腸の長さは約1.5mあり、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S字結腸、直腸の6つの部分からなっています。大腸に入った体にとって必要のなくなった食物のカスや未消化物は、約9〜10時間かかって直腸に達し、肛門から便として排泄されます。

4.不完全な消化物(残滓)が腐ってガスを発生
大腸内をコロノスコープで検査しますと、便がたまりやすくなっている大腸のヒダの間に、大腸ポリープやがんが発見されます。大腸内に憩室ができたり、腸の痙攣が慢性的に強くなっている部位はとくに便の流れが悪くなるので、便の溜まり場になります。
また、腸内の有益菌は加齢にともなって減少し、逆に有害菌が増してきます。子供や若年者でも、潰瘍性大腸炎、クローン病、アトピー、喘息などのアレルギー疾患のある人たちは、健康な人に比べて腸内環境(腸相)は非常に悪く、有害菌が増えて乳酸菌(有益菌)が非常に少なくなっています。
腸にとって有害菌となるのがウエルシュ菌、クロストリジウム、ブドウ球菌、緑膿菌、ベイオネラ菌、大腸菌などです。これらは、消化されなかった食べ物のカスを腐敗させることに関わる腐敗菌で、腐敗の過程で硫化水素、インドール、フェノール、スカトール、アンモニア、メタン、アミンなどの有毒物質、毒素が腸内に多量に発生します。また、これらの腸内細菌や腸粘膜細胞によって活性酸素(フリーラジカル)、過酸化脂質も発生されると思われます。
ガスや毒素は、腸内環境を悪くするだけでなく、さらに大腸の粘膜から血中に入り、身体に悪影響を及ぼします。
血液が汚れると、血行障害やリンパ腺の鬱滞を起こします。血液の流れが悪くなると、皮膚から心臓血管まであらゆる身体の機能を低下させ、新陳代謝がスムースに行われなくなります。すると、最初にその人の生まれつきもっている遺伝的に弱い臓器や組織が刺激を受け、これがさまざまな炎症や病気の発生原因となったり、がんを引き起こすと考えられます。

5.腸の汚れが、万病の元
通常、大腸内のガスの量は健康な人で50〜200cc位と思われます。体外に放出されるガスの量は、食事の種類、便排泄の頻度、腸内衛生管理(コーヒー・エネマの励行の有無)でも個人差がありますが、腸相の良し悪しや健康状態を見るバロメーターになるといえます(巻末の内視鏡写真をご参照下さい)。
多数の高名な医学者が、便秘や停滞便(宿便(※1))即ち大腸の内容物の停滞と汚れなど、さまざまな病気との関係を指摘しています。
こうした大腸の基本的な衛生管理を提唱するのは、胃腸や栄養学に携わる医師だけにとどまりません。最近では他の医療関係者の間でも「人間の健康にはきれいな腸、腸の浄化と活性化が大切だ」という考え方が特に強くなってきています。
痔、大腸ポリープ、大腸がん、乳がん、前立腺がん、心臓血管障害、肝臓・胆嚢疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、前立腺肥大、関節炎、リュウマチ、アトピー性皮膚炎、アレルギー疾患、子宮筋腫、乳腺症、膠原病、高血圧、脳梗塞、糖尿病などの病気の人たちは、大腸機能の衰え、機能不全などと強い関係があると考えられています。
大腸の中では、食べ物の質の良し悪しにかかわらず、常に発がん物質が生まれています。発がん物質が長く留まると、発がん物質から細胞が刺激を受ける時間が長くなることから、大腸ポリープや大腸がんが発生しやすくなります。
病気との診断がつかないまでも、食欲不振やはき気、頭痛、めまい、肌荒れ、ジンマシン、肥満、にきび、倦怠などといった症状も、腸の内容物の停滞との関係は明らかで、腸内の有害物質が腸壁から吸収され、血中に入って引き起こされると考えられます。私の多くの患者さんの大腸診察からも、これら病気の人たちの大腸は、便の停滞があって汚れており、腸相が異常に悪いといえます。
(※1)宿便:排泄されないで腸のヒダや腸壁に停滞している便

6.便秘薬は、腸本来の機能を奪う
小腸で栄養の吸収が終わって、大腸に入った食べ物のカスは、できるだけ早く排泄することが、体を健康に若々しく保つポイントですが、世代を問わず慢性的な便秘に悩む人は多いものです。
便秘や宿便によって大腸の機能が低下したり、さまざまな毒素や活性酸素は、動脈硬化のほかいろいろな生活習慣病、がん、老化などの最も大きな原因といわれています。
こうした便秘や宿便への解消法として、多くの人が安易に頼ってしまうのが便秘薬です。しかし医者の立場から言えば、これには、腸の動きや粘膜に対する毒性などいろいろな副作用があると警告せざるを得ません。たとえアロエやセンナ、大黄などの自然な薬草や漢方薬でも、その中にアントラシンという化学物質が含まれており、腸粘膜を変色させます。メラノーシスという色素沈着症を発症させ、それによって大腸のポリープやがんもできやすくなると思われます。また便秘薬を飲めば飲むほど腸の動きは悪くなり、動かなくなってしまうのです。

7.予防に勝る医学はない、食事教育(食育)はこれからの課題
24時間、体内で解毒の働きを担っている肝臓の負担をできるだけ少なくし、その機能を健全に保つために、大腸内の便の停滞や腸壁の汚れを防止しなければなりません。病気になってからあれこれと治療するのではなく、ふだんから病気にならないよう努力し、また再発しないよう予防することが大切です。
どこよりも早く自然環境の変化や少子高齢化社会を体験してきたアメリカでは、政府機関で大がかりな調査・研究をし、1975年のマックガーバンレポートによって、食事のとり方と病気との深い関わりが報告されました。食生活の改善が、病気の予防と治療に役立つ基本であると認めています。
一方、日本では現在でも病気の原因と食習慣、栄養との関係はほとんど無視されている状態です。多くの医師の関心は、病気になってしまってからの早期発見とその治療法で、患者は予防医学や病気にならない為の生活指導、食生活の具体的な方法はほとんど教えてもらえないのが現状です。
その一つの大きな原因は、検査をしないと、また薬を処方しないと医療相談の保険料の収入がほとんどないこと。医療費支払いの中にも、弁護士や税理士などと同様、1時間いくらという健康相談があって当然であり、これによって対症療法に過ぎない薬漬け・薬害も予防できることになるでしょう。
そろそろ日本も、アメリカが約30年前にやってのけた医療費の問題に取り組み、保険制度の見直しをしない限り、年々膨れ上がる医療予算は国の存亡の危機すら招くといわざるを得ません。日本でもアメリカに遅れること25年にして、慢性病の主な原因が生活習慣や食生活によるものと認識され、成人病の名称が生活習慣病に変わりました。医療費が大幅に削減されれば、国民一人一人に自分の健康状態に対して、もっと責任をもってもらわなければならないでしょう。

8.サプリメントや乳酸菌などは、まず腸をキレイにしてから
右側にできる大腸憩室は、精製された穀物(白米、白パン、パスタなど)の多い人にできやすく、また左側の憩室(特にS字結腸、下行結腸)は肉を多く食べる人に見られます。動物性食品である肉、鶏肉、牛乳、乳製品は、がんや心臓病などのいろいろな病気になりやすい体質を作る食べ物です。
人間はもともと植物食に向いた消化機能をもっているので、肉、鶏肉、牛乳、乳製品、魚などの動物たんぱくや脂肪を完全に消化することはできません。
柔らかく弾力性のある若い腸にする、つまり腸相を良くすると、腸内環境が良くなり、乳酸菌などの有益菌が多くなります。有益菌が多いと、自然治癒力や免疫力が増強され、血行も良くなるので、がんや他の生活習慣病予防の大きな要因になります。
腸相の良くなる良い物を食べ、高齢になっても有益菌が減らないように腸内環境を整えなければなりません。体によいものを摂るにしても、まず腸をきれいにしてから摂取することが大切です。

9.よい腸相にするために、できること−コーヒーエネマ
便秘や宿便を改善して腸をキレイにする方法の一つにコーヒー・エネマがあります。
私は、毎日1〜2回コーヒー・エネマを行います。コーヒー・エネマは大腸の左側だけを洗うわけですから、1日に2回行っても消化吸収を行う小腸の働きを阻害することはありませんので、安心して行って下さい。コーヒー・エネマをすると、癖になって腸が動かなくなってしまうのではと思う人がおられますが、私の臨床データによれば、そんな心配はいりません。むしろ、行っている人の方が、腸の動きも良く、停滞便や宿便がない、きれいな腸相をしています。私の友人のほとんどが、1日に1〜2回コーヒー・エネマをしています。これは便が出ないからでなく、きちんと排便があっても、ある程度は腸のヒダなどに汚れや食べかすが残っているからです。特に、大腸の左側は、停滞しやすいのです。

10.解毒(デトックス)
コーヒー・エネマ(腸洗浄)は、約70年前にドクター・マックス・ゲルソンによって始められたゲルソン療法の一つです。
体の中で毒を作る最大の器官は大腸であり、腸内で発生した毒素や老廃物をより早くコーヒー・エネマで大腸内から排泄することは、肝臓機能改善に最も望ましい事です。
大腸をきれいにしなければ他の方法では一時的なものでしかありません。こうした基本的な理論の元にオーガニックコーヒーに腸内環境を整える成分を配合したエネマ用コーヒーを開発しました。
コーヒー・エネマのもうひとつの大きな効果には、血液中の毒素や老廃物をより効果的に排出できることです。食べたものが小腸で栄養を消化吸収した後、大腸に入った食べカスや不消化物が腸のヒダや腸壁に停滞し、一日以上たつとより腐敗発酵がすすみ毒素を発生してしまいます。重要なことは、便としての食物残渣を腐敗発酵する前にコーヒー・エネマで体外に排出することです。

11.ゲルソン療法
博士自身の偏頭痛を治すことに端を発して考案された療法で、新鮮で自然な食べ物を摂取。またコーヒー・エネマで腸の働きを正常に戻して肝臓機能の回復を図り、からだの解毒作用を続行させるという代替療法のひとつです。
この療法は、治った患者の存在とその数の多さ、そして探究心の強い専門家たちが、その効果の高さを証明してきた療法でもあります。
コーヒー・エネマは、誰かに治してもらうのではなく、自分自身が誤ったライフスタイルを変えて、自分で治す心構えと実行が求められる療法です。
川(腸)をまずキレイに
・・・ドブ川になにを入れてもダメ・・・
1 要らなくなった生ゴミは、なるべく早く体外に排出し毒素を発生させない
2 大腸ポリープやガンは、直腸、S状結腸、下行結腸など肛門の近いところにより多く発見される
3 腸がキレイであれば善玉菌も増えやすく、腸内環境もよくなる
4 毎日きちんと排便があっても、ある程度は、腸のヒダや腸壁に汚れや食べカスが残っている
5 コーヒー・エネマは、早期に便を排出すると同時に腐敗物も排出する
6 小腸で栄養吸収後の大腸に入った食べカスは、大腸内の温度36.5度で毒素を発生させ腐敗して体内に吸収される
7 重金属や農薬・食品添加物は最も腸にたまりやすい
8 腸の汚れは血液を汚すだけではなく、体全体の機能低下に繋がる

12.コーヒー・エネマ最前線
私は30万人の臨床・研究の末、最適な濃度のオーガニックコーヒーに、腸内環境を整える成分を配合した「カフェコロン」を開発しました。
コーヒーの濃さが調整されて、駿河湾海洋深層水(※2)、蘇生海塩(※3)、乳酸菌生成エキス(※4)、EM-X(※5)、オリゴ糖など腸内環境を整えるのに有効な成分が含まれていますので、理論的には有益乳酸菌を増やし、活性化するように作られたコーヒーといえます。また、各種ミネラルが含まれているため急激に腸内から便を排泄することがあっても体内のミネラルバランスが崩れにくくなっています。
(※2)駿河湾海洋深層水:最深部が2500mに達する、日本一深い水深687mの深層水は千年以上前に生成されたものと言われミネラルを豊富に含む
(※3)蘇生海塩:満月に取水された海水をベースに乳酸菌や酵母などの善玉菌を用い時間をかけて発酵・熟成させた還元型
(※4)乳酸菌生成エキス:大豆を中心に16種類の乳酸菌を繁殖・熟成させ、発酵物から有効物質を抽出した物
(※5)EM-X:玄米、パパイヤ、海藻などの原料を乳酸菌や酵母などの有用菌によって発酵させ、その成分だけを抽出した100%天然素材の抗酸化飲料

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新谷 弘実(しんや ひろみ)
・アルバート・アインシュタイン医科大学外科教授
・ベス・イスラエル病院内視鏡センター所長
・元アメリカ大統領 医療チーム主治医
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